令和6年度 運営方針及び事業計画
我々建築士がおかれている状況は、省エネ基準適合化への対応、非住宅の木造化推進と技術の取得、歴史的建造物保存活用推進のための知識・ノウハウの習得、デジタル化や働き方改革への対応、公民連携によるまちづくりの推進、地震や大水害に対する防災意識の向上と予防体制の構築、少子高齢化が進む中での新規雇用・人材確保が求められるなど多岐にわたっています。
このような状況下、奈良県建築士会に所属した建築士だからこそ、期待されること、できること、やりがいのあること等を再認識し、下記のとおり、今までの活動を継続し、ステップアップすることで、地域に貢献していただくと共に自らの事業の繁栄に繋げていただければと思います。
- 日頃から自己研鑽につながる視察や研修(ヘリテージマネージャースキルアップ講座、歴史的建造物に関する調査研究、木造技術者研修、デザイン賞の運営を通じた再発見・新たな学習、他府県の建築士から学ぶ防災研修、まち歩きや研修によるバリアフリー等の学習や提案)を通じ必要な技術を学んでいることで、グリーン化(例;省エネ・木造化・既存建築物の保存活用・景観保全)に対応できる人材、災害時や災害予防など安全・安心に寄与できる人材を紹介できます。
- 公民連携によるまちづくりでは、経験と技術を持った建築士が中立的な立場でワークショップ等、市民主体のまちづくりの進行役やコーディネーター役を担えます。
- 県内には、飛鳥時代以前から近代まで残る豊富な地域資源「例;鎮守の森(寺社仏閣・古墳・重要樹木・伝承など)、世界一良質な吉野スギ・ヒノキ、今も残る万葉集で詠われた風景など」があり、国内外の大学が魅力を感じていることから、インターンシップや研究を通じ、若手建築士の雇用につなげるチャンスがあります。また、一般向けの建築視察ツアー(例;茶室を有した歴史的建造物、登録有形文化財の町家等)のニーズも増え、建築に興味を持つ関係市民(リピーター観光客)との交流も生まれ、空き町家利活用等につながる可能性もあります。
当会の会員数は、この30年間で半減し、約660名となりました。会員減少は、「高齢・建築の仕事を離れた」という理由が多く、また、県内建築士の昨年度の合格者数が75名(一級20名、ニ級49名、木造6名)と試験の難易度が高く、全国の20歳代建築士の割合は1%と極端に少ないことが理由です。しかし、建築士へのニーズと需要は、ますます高くなることから、自らスキルを向上させ、能動的に地域活動に参画することで、いずれ自分自身の実につながると確信しています。
以上のことから、未加入の建築士に対してだけでなく、受験可能な学生にも建築士会の活動を知っていただき、参加の機会を設け加入につながるよう。また、仕事を離れても建築士である諸先輩方には引き続き、無理のない程度で多世代とも交流いただき、長く会員として楽しんでいただけるよう。それ以外の皆様とは、職能を活かし、やりがいを持って地域のニーズに応えることで、次世代まで皆が元気であり続けられるよう。志を同じくし皆様と共に取り組んでいきたいと思います。
重点施策
- 地域貢献活動の推進
- 建築士会会員増強の推進
- 建築士の資質の維持向上及び業務環境の改善
- 建築士制度に係わる事業の推進
- 建築士会の組織及び財政基盤の強化
- 建築関係3団体をはじめ関係団体との連携・協力
事業内容
1.地域貢献活動に係わる事業
- 街中(空家)まちづくり活動の推進
- 歴史まちづくり活動の推進
1)歴史的建造物委員会の運営
- 福祉まちづくり活動の推進
- 木材の利活用の促進支援
- 景観まちづくり活動の推進
- 防災まちづくりの推進
1)被災建築物応急危険度判定士参集連絡体制の整備
2)風水害への対応の検討
- まちづくり活動等地域に根ざした専門活動の支援
2.建築士会会員増強に係わる事業
- 未入会建築士への入会促進
- 会員増強のための継続的運動の推進
1)試験合格者・スチューデントメンバー制度の推進
(建築関連学校学生への建築士会活動への呼びかけ)
2)インターンシップ受け入れ体制の検討
- 各支部の増強活動への協力・支援
3.建築士の資質の維持・向上に係わる事業
- 建築士の講習・研修の実施
1)研修会、見学会の開催
2)監理技術者講習の開催
3)建築関係図書の発行
- 専門分野別建築士の養成
- 継続能力開発(CPD)制度の普及・推進及び行政への周知
- 専攻建築士制度の普及・推進
4.建築士制度に係わる事業
- 建築士試験の業務受託実施
- 建築士の登録閲覧事務
1)一級建築士の登録閲覧等に関する業務((公社)日本建築士会連合会受託業務)
2)二級・木造建築士の登録閲覧等に関する業務(奈良県指定登録機関業務)
- 建築士業務環境改善
- 建築基準法等関連法令への対応
5.建築士会の組織及び財政基盤の強化
- 事業・支部組織の見直しの検討
- 会員相互の交流の推進
6.その他事業
- 建築関連情報誌「士会奈良」の発行
- コンペ「建築甲子園」の実施協力
- 近畿学生住宅大賞の実施
- 建築情報サイトの管理運営
- 発注者への支援事業の推進
- 建築行政への協力
1)「違反建築防止週間」「建築物防災週間」「まちづくり月間」事業
2)奈良県被災建築物・宅地応急危険度判定事業
3)奈良県住宅・建築物耐震化促進協議会
4)なら安全安心住まい・まちづくり協議会
5)奈良の木利用推進協議会
6)なら健康・省エネ住宅を推進する県民会議