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奈良県景観調和デザイン賞

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教育事業委員会デザイン賞部会報告

第11回奈良県景観調和デザイン賞は、奈良県の恵まれた伝統や自然環境と調和し、すみよい町の創造と景観形成に寄与した建物等を公募し表彰することにより、世界に誇る奈良県の都市景観形成の向上に質すること。また建築関係に携わる者だけでなく、広く県民に理解され参加されることを目的として、候補作品を募集し、公共部門23作品、一般部門29作品、住宅部門20作品、改修部門4作品、まちなみ部門12作品、まちなみ保存部門4作品の、合計92点の応募推薦作品が集まりました。


平成16年9月27日第1次審査(写真選考)で第2次審査対象作品の10点が選考され、その後第2次審査(現地審査)を経て平成16年11月2日最終審査が開催され、知事賞1点、会長賞1点、奨励賞2点の4作品が選出されました。


今回の特徴は審査委員長の講評にもあるように「中町プロジェクト」と「日高山団地(1期)」の「まちなみ」としての美しさが評価の対象となり受賞したことです。この2作品に対する評価内容と受賞は、奈良県景観調和デザイン賞の目的からも非常に喜ばしいことと受け止めています。


尚、平成17年1月7日の表彰式の後、前回と同じように各受賞作品は、各支部に巡回展示する予定です。


最終審査の後、審査委員の先生方と城田会長に参加いただき座談会を開催。景観緑法が制定されたこともあり「奈良らしさのコード(景観の模索)」をテーマに「住民にとっての奈良らしさ」、「観光客にとっての奈良らしさ」など多岐にわたる内容の座談会となりました。この模様は「士会なら」2月号以降に掲載させていただく予定です。


今回からは新たな試みとして、ホームページからの募集も行い、ホームページからの応募推薦が可能となったこと。また座談会には限られた席数ですが傍聴席を設けて、士会会員の傍聴が可能になったことがあります。今後この座談会の傍聴席を更に広げ、県民の皆様にも傍聴していただけるまでになれば良いがと願っています。


最後に、当事業にご協力いただきました審査委員、関係各団体並びに士会会員の皆様に厚く御礼申し上げます。

第11回奈良県景観調和デザイン賞

知事賞

河合町立第一小学校

施主:河合町

設計:植村建築設計事務所

施工:村本建設(株)奈良本店

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会長賞

中町プロジェクト

事業主:(株)住

設計:(有)上杉企画設計事務所

施工:増春建設(株)

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奨励賞

千軒舎

施主:大宇陀町

設計:HULL建築設計

施工:(株)中尾組

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奨励賞

橿原市営日高山団地(1期)

事業主:橿原市

設計:倉本都市建築ラボラトリー・大高建築設計事務所

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第11回奈良県景観調和デザイン賞審査評

国土交通省は21世紀に入ってようやく、「美しい国土を」と言い出しました。これに先駆け、奈良県景観調和デザイン賞は既に11回を迎えたことは大変うれしいことであると思います。


オリンピックの思想は「芸術点」と「技術点」の2つから成り立っています。我が国では、いまだに1・2級建築士の試験は「技術点」のみで、「芸術点」のないことが欧米の街の美しさに大きく遅れをとっている結果だと思います。その意味でも奈良県景観調和デザイン賞は大変意義のあることと思っています。


さて、知事賞の「河合町立第一小学校」はヤコブセンのムンケガルト小学校(1954~56)を今思い出させる。各教室毎に中庭を持つ自然と一体となった小学校を日本でもようやく出来るようになったのかと大変嬉しく思っているが、治安上の問題で閉鎖的になっているのが残念である。


今回の審査で今までと大きく異なる点は、会長賞「中町プロジェクト」と奨励賞「日高山団地(1期)」の二つが入賞をしたことで、点から面(群)へのまさに景観賞的な広がりを見せたことです。特に「中町プロジェクト」はフロントガーデンのある若向きのフレッシュな建築で、今までになかった新鮮な感覚を受けた。日本の建て売り業界も全てがこうなることを願っている。


次に、奨励賞の「日高山団地(1期)」も建物は画一的ではあるが、道路や路地、広場、植栽計画が上手く出来ていて大変好感が持てた。しかし2期には樹木が全く無く、植栽計画もつまらないものとなっている。これは、落ち葉等のメンテナンスの経済的問題等で植えられなかったのであろう。昔から「いい家庭」とは家と庭と書く。「街に緑」をと日本中で言っているのだから、それを市にリーダーシップをもってやって欲しい。


奨励賞の「千軒舎」。保存問題はこれからの日本文化のために本当に重要な問題であるにもかかわらず、我国ではまだまだ経済的な理由で美しい街や建築が激しい勢いで失われている。本当の意味での新しい街づくりのためには、古い街や建築の美、情緒を学ぶ意味で絶対に失ってはならないものである。その意味では「千軒舎」と松山地区街づくりセンターに感謝するとともに応援したいと思っている。


審査委員長 出江 寛



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